鳴子の米プロジェクトのシンボル米である「ゆきむすび」は、もちもちした食感、冷めてもおいしい味わいです。鬼首地区と中山平地区の約30軒のゆきむすび生産者が「作り手部会」を結成。生産された米を事務局が預かり、農家が安心して米づくりを続けられる値段に事務局の運営費を乗せ、販売しています。一昨年までは、すべてくい掛け天日干しで生産していましたが、高齢化の進展もあって平成25年産米からはコンバイン生産との2本立てで、生産に取り組んでいます。
毎年、5月末の田植えと10月初めの稲刈りには、鬼首地区の田んぼで作り手と支え手の交流会を開催しています。山あいの田んぼには、迎える農家と仙台や東京からやってくる参加者のにぎやかな声が響きわたります。ぬかるむ田んぼに入り腰を折って進める田植えも、手刈りし束にした稲を杭に架けていく稲刈りもなかなかの重労働。短い時間であっても苦労を分かち合いともに汗を流すと、親密さも増していきます。終わったあと待っているのは、お母さんたちが朝から準備したおむすびや煮物を味わう「小昼」の時間。毎回楽しみに訪れる人もいます。
安ければいい。ブランド品なら安心。そう判断しがちな消費者。その陰で、担い手が高齢化し、地域の農地が荒れていく現実。切り離されていく両者をつなぎ、食と農を守るために、私たちはどう行動すればいいのか。そうしたテーマを、「鳴子の米プロジェクト」の総合プロデューサーである結城登美雄さん(民俗研究家)を講師に考えていく場を、東京と鳴子で3回にわたり開催しました。